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症例に学ぶ見逃してはいけないサイン-

紹介内容には、解説者の知識、経験、方針に基づく私見が含まれている場合があります。薬剤の使用にあたっては、各薬剤の最新の添付文書をご参照ください。

総合監修コメント

監修のコメント

耳鼻咽喉科外来における日常診療では患者数も多いため、短時間に的確に診断し、治療方針を決定する必要がある。各々の主訴に対して頻度の高い疾患を順に考えていくことで多くは診断できるが、その裏でたとえ多忙な外来の中であっても「見逃してはいけないサイン」に気付かず、思わぬミスを犯す危険性がある。
このようなサイン・兆候を単発的に取り扱い解説・報告している書籍はあるが、主要な耳鼻咽喉科疾患の主訴を取り上げ、耳鼻咽喉科外来を訪れる患者に潜むサイン、診療上見落としてはならないポイントについてWeb上にて解説した本企画は初めての試みと言える。
本コンテンツの内容は、まずその主訴を特徴とする主要疾患の具体的な症例を提示し、自他覚的症状や検査所見の解説をし、次いでその主訴で訪れる患者の鑑別診断において「見逃してはいけないサイン」を記した。さらに、診断のポイントならびに疑うべき疾患を解説し、最後に担当した医師の実践的なコメントを掲載している。このような構成にすることで、実地医科の先生方に「見逃してはいけないサイン」をよりイメージいただけるようにした。
本コンテンツは単に「見逃してはいけないサイン」の羅列ではなく、一つの主訴に対する鑑別診断や診療の進め方に関しても詳述されており、耳鼻咽喉科診断学の教科書としても通用する内容となっている。
若手の先生のみならずベテランの先生方にも、日常診療における重要な留意事項として是非とも目を通していただきたい。
本企画が実際の臨床の場面で患者と向き合う先生方の診療の一助になれば幸いである。
鹿児島大学大学院医歯学総合研究所
耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 教授
黒野 祐一

一覧情報

めまい (目がまわる、ふらふらする)

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富山大学 耳鼻咽喉科頭頸部外科 教授 將積 日出夫 先生
めまいは外来受診する患者の主訴の中で頻度の高い症状である。原因としては良性発作性頭位めまい症(高齢者に最も多い回転性めまい)などの末梢性めまいが多いが、稀に小脳出血や脳梗塞など生命に関わる中枢性のめまいが混在するため鑑別には注意を要する。そのため、既往歴の聴取、自発及び注視眼振などの検査を正確に行い、中枢性めまいが疑われた場合は画像診断を行うことが重要となる。

鼻痛(目が痛い、頭が痛い)

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獨協医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科 教授 春名 眞一 先生
陳旧性眼窩内側壁骨折では、篩骨洞に炎症が加わると、眼窩への炎症の波及や前頭洞炎を起こし、重篤な眼症状を呈する。外傷の既往の問診がないと、嚢胞や腫瘍性病変との鑑別が必要である。治療は眼窩内容物を眼窩内に整復するが、骨折部位が広範囲であり陳旧性の場合、眼窩内側が篩骨洞側に突出しやすく、再度前頭洞口を閉鎖しやすい。前頭洞単洞化手術の必要もある。

耳痛 (耳が痛い)

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昭和大学医学部耳鼻咽喉科学講座 主任教授 小林 一女 先生
急性中耳炎は幼小児に多く、難聴の多くは伝音難聴である。時に骨導閾値の上昇や耳鳴、めまいなどを訴える症例がある。成人例に多い。内耳障害は発症から早期に治療すると予後は良い。成人の急性中耳炎では骨導閾値の測定が必要である。

嚥下困難(飲み込みづらい、食事が通りにくい)

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久留米大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座 主任教授 梅野 博仁 先生
嚥下困難を引き起こす原因は、脳血管障害、神経・筋疾患、腫瘍や腫瘍の治療後、薬剤、加齢など様々あるが、病歴を詳細に聴取し、入念な診察を行うことでその原因を絞り込むことが可能である。特に患者の訴えと診察所見に乖離が認められる場合には、慎重に原因を特定する必要がある。

重症型薬疹 (口唇の血痂、出血を伴うびらん)

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札幌医科大学 耳鼻咽喉科学教室 教授 氷見 徹夫 先生
発熱と口唇(皮膚粘膜移行部)の紅斑、水疱・びらんに加えて、眼や外陰部にも病変が出現する場合はスティーヴンス・ジョンソン症候群の可能性がある。時に致死的であり失明などの後遺症を残す疾患であり発症早期の治療開始が求められる。初診時には耳鼻咽喉科を含めた皮膚科以外の診療科も受診するため見逃してはいけない疾患である。