ドクターサロン

池脇

本日は入れ墨の質問をいただきました。「入れ墨を除去したい。どういう除去法があって、効果と費用を教えてください」ということです。「入れ墨」ともいいますし、「タトゥー」ともいいますが、先生方は使い分けているのでしょうか。

今泉

明確な使い分けは正直あまりしていませんが、一般的なイメージで言いますと、「入れ墨」は反社会勢力の方々が入れているイメージが強くて、「タトゥー」という言葉は、ファッションタトゥーやアートメイクなど、外観の装飾という意味で使われることが多いと感じます。

池脇

確かにタトゥーは海外を中心にしたアーティスト、K-POPの方、スポーツ選手が入れていて、それで「私も入れたい」という、特に若い人にタトゥーは広がっているのでしょうか。

今泉

そうですね。おっしゃるとおり、K-POPスターの影響で、最近は若い方から中年女性にかけて韓国に行かれる方が多くて、そこでアートメイクやタトゥーをする方が非常に増えている印象です。

池脇

日本でどのくらいの方がタトゥーを入れているか。その数字というのはなかなかわからないですけれども、少なくとも最近は増えていることは確かと言っていいでしょうか。

今泉

患者さんからご相談いただく件数としては、おっしゃるとおり、少しずつ増えています。

池脇

本日はそれをどうやって消すかという質問ですけれども、まずそもそもどこで入れるのか。入れ墨は彫師が入れるというイメージがあるのですけれども、タトゥーはそれとはちょっと違うのでしょうか。

今泉

タトゥーも専門の方が入れる「玄人彫り」が一般的です。しかし主に若年層の方々で、「素人彫り」つまり友達同士で墨汁や鉛筆の芯などを使って入れている方もいます。玄人彫りに比べて深さが均一でないので、治療がかなり困難になるというのは、私たちもすごく難しく感じているところです。

池脇

入れやすくなったがために、タトゥーのクオリティがバラバラになってしまって、先生方にとっては少し厄介な問題になっているということですね。

今泉

そうですね。

池脇

実際に入れてみたけれども、あるきっかけで消したいと。具体的にはどういうことがきっかけで「消したい」となるのでしょう。

今泉

私は普段、大学病院で血管性病変や皮膚の色素性疾患などのあざ治療をしています。お子さま中心になりますが、同伴されたご両親からタトゥー除去の相談を受けることがあります。例えば子どもと一緒に温泉やプールに入りたいとか、保育園の行事で指摘されるのを避けたいとか、そういうライフイベントに伴って消したいという方が増えているような印象ですね。

池脇

若い年代では、結婚とか就職にあたって消したいという方もいるのでしょうね。

今泉

おっしゃるとおりだと思います。

池脇

それぞれの理由で消したいということで、どのような除去法があるかですがいかがでしょうか。

今泉

最近の主流はレーザー治療です。10年ぐらい前に、従来のナノ秒レーザーから発達したピコ秒レーザーというものが出まして、こちらは1兆分の1秒でレーザーを照射する。より短くなったことで、より細かくタトゥーの色素を砕くことができるようになりましたので、治療効果もナノ秒レーザーに比べると向上しました。

池脇

タトゥーの色素は、表皮ではなくて真皮にあるわけですよね。そこまでレーザーを到達させて、その色素を分解するというイメージですか。

今泉

はい。衝撃波で色素を粉砕するということになります。

池脇

その後、砕けたというか粉砕された色素はどういうプロセスで消えてくれるのですか。

今泉

粒径が小さくなったものはマクロファージに貪食されてリンパ系を介して体外に排出されます。タトゥーを入れた直後にも全部の色素が定着するわけではなくて、一部は入れた直後に同じようにマクロファージに貪食されて排出され、それ以外がタトゥーとして真皮内に残ります。

池脇

色素の種類と波長の相性はあるのですか。

今泉

あります。一番消しやすい黒色は従来のナノ秒レーザーでも比較的効果は出ていましたが、ピコ秒レーザーはさらに細かく粉砕することができますので、より少ない回数で治療可能です。

また従来のナノ秒レーザーは、主に黒しか効きませんでしたが、ピコ秒レーザーは波長を変えることで青や緑、赤、黄などにも効果があります。最近はいろいろな色を使ったタトゥーも増えていますので、ピコ秒レーザーの登場とともに、治療の効果は向上している印象です。

池脇

そうすると、除去したい入れ墨、あるいはタトゥーでどういう色が使われていて、どのくらいの深度かを先生方が診た上で、どういう治療をするか決めていくのでしょうか。

今泉

そうですね。色の使われ方や入り方、いつ、誰が入れたのかなどはかなり様々ですので、治療効果ももちろん変わってきます。レーザー治療の必要回数としては、タトゥーの状態にもよりますが一般的には最低5~10回、ピコ秒レーザーでもそのぐらいはかかるとお伝えしています。色が黒ではなくて青や緑、赤などですと、より多くの回数を必要とすることが多いです。

池脇

1回レーザーを当てて、色素が分解されて、マクロファージにそれを貪食してもらう期間があるので、治療の間隔はどのくらいでしょうか。

今泉

4~8週ぐらいは治療間隔を空けたいですね。治療回数とともに色素沈着や色素脱失を生じる可能性も出てきますので、少し間隔を空けながら、当てすぎないように調整していくことが必要だと思います。

池脇

ある程度の期間、何回か当てて消していくということで、本日の質問で、その効果はどうでしょうかと。効果も何をもって判定するのか。対象の方が「満足した」なのか、難しいところですけれどもどうでしょうか。

今泉

レーザー治療の効果としては、先ほど申し上げたようにナノ秒レーザーからピコ秒レーザーに変わったことで向上しました。ただ、患者さんの社会的な背景といいますか、いつまでに取りたいとか、そういったご希望によっては、場合によってはレーザーではなくて、切除を希望される方も一定数いらっしゃいます。

池脇

先生が言われる切除というのは、タトゥーの周りをメスで切開して、縫合するというイメージの。

今泉

そうです。

池脇

それでしたら、あっという間に完結するわけですね。

今泉

はい。ただタトゥーの入っている形とか、入っている場所によっては、切除が難しい場合もあります。細めの線状のものであれば1回で取れますので、レーザーで何回もお金をかけてやるよりはということで切除を希望される方もいますが、広範囲に入っている場合は複数回に分けて切除することが必要になります。またケロイド体質の患者さんは、切除することで傷跡のところが赤くみみず腫れのように目立ってしまうので、ケロイドの好発部位に入れ墨があったりしますと、切除は少し難しくなってきます。

池脇

最後に費用ですが、基本的には自費診療になるわけですよね。いろいろと価格には幅があると思いますが、どのぐらいでしょう。

今泉

自費診療なので施設によって本当に様々ですが、レーザー治療ですと1㎝四方あたり1万円ぐらいを目安にお考えいただくとよいかなと思います。切除についても本当にまちまちですが、小さいものでも5万円前後、広範囲のものですと分割切除をする場合もありますので、その都度、例えば2回に分けて取るなら5万円が2回と、回数を重ねるごとに費用がかかってくるということになります。

池脇

自由診療ですから、切除や除去は美容外科が主流でしょうか。

今泉

美容外科で治療されている方が多いと思います。レーザーを幾つかそろえている施設も増えていますので、まずは専門のクリニックでタトゥーの状態を確認してもらい、治療方法や必要期間・費用について理解することが大切です。治療後のケアも結果を左右しますので、ぜひ信頼できる医療機関でよく相談なさってください。

池脇

ありがとうございました。